2020/07/22 11:55
「ハチミツってなんですか?」
意外とよく聞かれる質問で、ハチミツ好きの方もよく分からないまま食べている人も多いのかもしれませんね。以前に参加したイベントでは「ハチミツとメープルシロップは何が違うんですか?」と聞かれたこともありますが、確かに見た目や味わいは”食品”という大きな括りで見たら似ていますもんね。どちらもホットケーキによく合いますし。メープルシロップはカエデの樹液を煮詰めて濃縮させた天然の甘味料です。天然の甘味料という点ではハチミツと同じですが保存方法が異なります。メープルシロップは常温だとカビが生えてしまう可能性がある為、開封後は冷蔵庫に入れて保存します。ハチミツは逆に冷蔵庫に入れてしまうと結晶化し、固まってしまいます。ハチミツ自体に殺菌性があり腐りにくいので、夏場でも常温で保存できるのです。ハチミツは、”天然の保存食”といわれるくらい保存性が高い食品なんですね。
ハチミツの保存方法については次回、詳しく書きたいと思います。こちらもよく聞かれることなので。
子供から「ハチミツってミツバチのゲロなんでしょ!?」と言われました。
イベント出店時に10歳くらいの男の子が、嬉しそうに近寄ってきて「ハチミツってミツバチのゲロなんでしょ〜!?」とニコニコしながら聞いてきたので「そうだよ〜、よく知ってるね、ハチミツは好き?」と聞くと「うん!」と答えてくれました。後から親御さんが「すみません、最近息子が好きな本の中にそうやって書いてあったので、、、」と申し訳なさそうにフォローして下さいました。数年前にベストセラーになった『ざんねんないきもの事典』の中に「ハチミツはミツバチのゲロ」という記述があるそうです。それを聞いた時に、ナルホドな〜確かにそうゆう表現の方が子供は喜ぶな〜と感心しました。ゲロと聞くと食品なのでなんとなく嫌な思いをされる方もいるかもしれませんが、端的にいうとそういうことですね!ちなみにその本の中には他に、「クラゲは口と肛門が一緒」とか「ヒトデは胃袋を口から出して食事をする」とか「カゲロウの寿命は2時間」とか、とっても興味をそそるフレーズが盛り沢山。私も全シリーズを揃えたい!!(なんと、大人気で続編と合わせ5シリーズもあるのだ)と、大人も楽しめそうな良書(?)です。
ハチミツはミツバチが吐き戻した花蜜です。
ちょっと綺麗に言い換えました(笑)。ハチにとって花は大切な食糧源ですが、花はすぐに散ってしまうというリスクがあります。そこで、多くの種は一生を短くする ”さっさと生きる” ことでこの問題を解決しています。一方、ミツバチは季節が巡っても生きています。その秘訣がハチミツにあります。ミツバチは自分たちの大切な食糧を腐らずに保存する能力を持っているのです。この能力を手に入れる為に、ミツバチは頭から足まで体中を進化させ、まるでハチミツ製造機のような体になったのです。
まずは働きバチが花の蜜を集めます。口から出た細いストローのような管で花の蜜を吸い上げるのですが、働きバチは長い舌を持っていて、その舌のおかげで花の奥深くに隠されている花の蜜も採ることができるのです。集められた花蜜は”蜜胃”と呼ばれるミツバチの胃袋に一時的に保管され、巣まで運ばれて行きます。その過程でミツバチの体の中から出される数種類の酵素によって、花蜜からハチミツに変化していきます。巣に戻ると蜜胃にためていた蜜を食道から口へ吐き戻し、内勤バチにバトンタッチします。内勤バチは受け取った花蜜を舌の先まで吐き戻す作業を繰り返し、花蜜の水分含有量を下げていきます。胃が濃縮された花蜜でいっぱいになると、内勤ばちは巣房(あの六角形のミツバチの巣の穴)に吐き戻し、次に、若い働きバチ達が、飛行の練習も兼ねて羽を羽ばたかせ花蜜の水分を飛ばしていきます。水分含有量が約20%以下になると、水を吸収しないように蝋の蓋をかぶせハチミツの完成です。
一般にミツバチが集める花の蜜の糖度は30〜50%くらいと言われています。そこからミツバチが加工し、糖度が80%近くになったものがハチミツと呼ばれています。高騰度になることで、腐敗菌などの微生物が活動するのに十分な水分が得られず、細菌などが入っても繁殖できずに死滅します。砂糖などが腐らない原理と同じですね。その為、ハチミツが常温で長期保存が出来るのです。
ハチミツの歴史は人類の歴史
イギリスには「ハチミツの歴史は人類の歴史」という古いことわざがあります。紀元前6000年頃のスペインの壁画には野生のミツバチの巣からハチミツを採取している人間の様子が描かれています。この頃はまだサトウキビを煮詰めて砂糖を作る技術もなかったでしょうから、甘いハチミツは古代人にとってハチに刺されるリスクを冒しても手に入れたい、魅惑的なものだったのでしょう。紀元前2600年頃のエジプトの壁画にはミツバチの巣箱を人間が作って”養蜂”をする様子が描かれています。
近代文明が進み、2020年になった現在も花の蜜を人工的に集め、ハチミツを作る技術は開発されていません(いつかドローンミツバチ何かが出来るかもしれないな〜とも夢見ますが)。その為、私たちは今もミツバチの力を借り、ミツバチ達が集めた大切なハチミツをお裾分けの気持ちで頂いています。